ワイヤーハーネス組み立て支援システム
研究概要
航空機用ワイヤーハーネスの組み立てを効率化するために,(1)電線番号の読み取り,(2)ピンカシメの検査,(3)コネクタピン位置指示を行うシステムを開発しています.
背景と目的
航空機には機種にもよりますが,1機あたり約100組の高密度配線(ワイヤーハーネス)が用いられ,1組のワイヤーハーネスには100~1000本にも及ぶ膨大な量の電線が使用されています.それにも関わらず,その組立工程の約8割は,人手と目視で行われており,効率化が求められています.
アプローチ
ワイヤーハーネスの組立工程のうちボトルネックとなっている,(1)電線番号の読み取り作業,(2)ピンカシメの検査作業,(3)コネクタへピンを挿入する作業,の3点を効率化するため,画像認識を用いた作業支援システムを開発しています.
電線番号読み取り装置
直径が2mm~0.6mmの電線や,2芯線,3芯線に直接印字された文字,10色の熱収縮チューブに印字された文字をニューラルネットで認識します.
カシメピン検査装置
ピンのカシメ作業が正しく行われたかを検査するため,カシメ位置,クリアランス,素線の差し込み深さを2次元画像処理を用いて検査します.検査結果をデジタルデータとして保存できるためトレーサビリティの向上にも寄与します.
コネクタピン位置指示装置
コネクタにピンを挿入する際に,次に挿入する位置を画面に表示します.また,挿入位置に対し,コネクタの裏からプロジェクタの光を当てることで,画面を見ずに作業をすることも可能です.さらに,正しい位置に挿入されたか否かの判定も自動で行います.
文献情報
-
田口亮,井上航,西郷知恭,保黒政大,梅崎太造,今井嘉之,野田新見,「高密度配線組立支援のための電線番号照合アルゴリズムの開発」,第17回 画像の認識・理解シンポジウム,(2014)
-
三谷大志,村瀬智光,加藤嗣,田口亮,保黒政大,梅崎太造,「航空機用高密度配線組立時における極細電線印字文字の高精度認識」,第19回 画像センシングシンポジウム,(2013)